同時代にリアルタイムで生きておられることに感謝するしかないような大好きな人が幾人かいて、
そのうちの一人に映画監督の濱口竜介さんがいます。
(そのうちの一人のクレイトン・クリステンセンさんは少し前にお亡くなりになりました。残念で悲しいです。いずれ文章を書くかもしれません)
濱口竜介さんは今世界で数少ない、創発を映像化出来る方だと思っていて、
映画に面白さではなく、どれだけ心を揺らされ、絶望を味わうかを求めてしまう僕にとって
感嘆するしかない監督です。
それも全ての作品で。
過去の優れた映画監督たちの遍歴から考えても
昨年公開された彼の「ドライブ・マイ・カー」は最高傑作になるであろうと確信していました。
映画の中にちりばめられたオマージュと情報量が何層にもわたって表現され、別の意味が立ち上がってくる集大成を
一人ではなく誰かと一緒に分かち合いたいと
昨年、友人を誘って観に行く予定を立てていました。
しかし、ニ度ほどやむ得ない事情が重なって観に行くことを断念しました。
今年に入って、大好きな奥さんと 観に行く予定を立てましたが、結局予定が入り頓挫。
これは僕に何を教えてくれているのだろうかと思いながら、
次に公開された「偶然と想像」を先に観て、
戯曲のような構成や演者の映像の中での成長を味わいつつ、
あまり細かく説明すると大事なものが失われてしまうのでここまでにしますが、
大好きなシッタルダーさんがおっしゃられていた「縁起」の映像化を試みられているように感じ
ただただ、茫然とするのでした。
そして、まだ観ぬ「ドライブ・マイ・カー」を観ることにより一体どんな別の意味が立ち上がり、
絶望を味わいながら心を揺らされるのかと思うと
おそるおそるで楽しみにしてしまうのでした。
以上、「ドライブ・マイ・カー」は独りで観に行きます・・という話でした。