京都嵐山 越天楽 縦横無尽

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社長雑記

PERFECT DAYS




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(写真は初参りをした御室八十八か所からみた京都です)
 


はじめて洋楽(当時は邦楽と洋楽という区分けがありました)のCDを購入したのは
ルーリードさんとパティースミスさんとで悩みに悩んで
不審者のように中古のCDレコードショップの中をウロウロした後
パティースミスさんの「HORSES」でした。



はじめて商業的成功を目指さない映画、いわゆるシネフィルといわれるものを小箱で観た映画は
ヴィムヴェンダースさんの「パリ、テキサス」でした。
(興行的にも成功されていますが)

そんなヴィムヴエンダースさんが小津さんへの敬意を込めた「東京画」を経て、
再び東京を描く「PERFECT DAYS」はおそらく小津さんの「東京物語」へのオマージュだろうと楽しみにしていました。

で、友人と一緒に鑑賞してきました。


「東京物語」は僕には感じることができなかったけれども
なんとも素晴らしい映画でした。

大好きなパティースミスさんにはじまり大好きなルーリードさんの「PERFECT DAYS」が流れてきて
あっタイトルそういうことかと納得しました

ちなみに、2枚目に買ったCDはヴェルヴェットアンダーグランド&ニコで

登場人物にニコという女の子が出てきた段階で、
これは俺のための映画だと勝手にきめました。

キンクスやヴェルヴェットアンダーグランド、アニマルズ、パトリシア・ハイスミスや幸田文等
思春期によく聴いたり読んだりしていた人たちが折にふれて登場してきて
物語と関係なく泣きそうになりました。



監督がヴィムヴェンダースさんで主演が役所広司さんというところで
すでに質は約束されているのですが、
それ以上のものをいただいた気がします。

これ以上書くと内容を書きすぎてしまうのでここまでにしますが、
最後の役所広司さんの表情が素晴らしく、シーシュポスの神話のシーシュポスのようだなあ
とここでも少し涙がでました。


以上、加齢とともに様々な名前がうろ覚えで、
おそらく、あがた森魚さんが出演されていたのに
なんだか魚の人?、よくわからないけど魚の人?、たぶん森っぽい人?、林?と
なかなか名前が出てこないで
映画の後、コーヒーを飲みながら
映画の感想そっちのけで
一生懸命思い出そうとするおっさん2人でした…。

 

2024年01月30日 07:56

京都の大好きな和菓子屋さん等々~その肆 神馬堂さんのやきもちとサカイさんの冷麺





 

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(写真は最近お店にやってきた手織り綿ブローチの猫たちです)

 

お客様に京都の和菓子も紹介して欲しいというお声をよく頂きます。

ふと思うと、いつも食べたい和菓子はだいたい決まっていて、

これを頂ければ嬉しいという和菓子もだいたい決まっているような気がします。

そんな、食べると嬉しいな~という和菓子を

少しずつ紹介しますね。
(続くかどうかわかりませんが……)

 

以前紹介した参の後長いこと忘れていました…。
今回久しぶりにその肆を書きますが次はいつになるか分かりません…。

また、忘れたころに伍として紹介するかもしれません。

 

今回紹介するのは神馬堂さんのやきもちです。
以前も別で紹介したことがありますが改めて紹介しますね。


上賀茂さんによった時は必ず寄ります。
大々的に展開しておらず昔からここでしか売られていないお店なので、
午後で売り切れてしまっていることも多いです。

初代からのこだわりから、
素材は小豆ともち米と砂糖のみで、
つきたてのお餅で作られ提供されているので
買ってすぐに食べるのが一番おいしいです。

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(写真は神馬堂さんの焼きもちです。お店の写真は撮り忘れました…)


上賀茂さんにきたらこちらもついついよって食べてしまう
サカイさんの冷麺。
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先日大好きな奥さんがサカイの冷麺が食べたいというので
家族で伺いましたが、相変わらずの美味しさで、もう一杯いけるくらいの美味しさでした。
ハムと焼き豚がありますが僕は焼き豚派です。
からしの効いたタレとよく合うんですよね~。

で、そのあとに神馬堂さんによりましたがお昼の後なので当然のように閉店でした。
お昼ご飯の前に行くべきでした…。


以上、「やきもち買うなら午前中」という話でした。


 

2023年08月09日 00:00

映画 BLUE GIANT 




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(縦横無尽のインスタグラムをはじめました。
少しずつですがご来店いただいたお客様などを紹介していきますのでよろしければご覧ください。
(Instagramでarashiyama_juuoumujinで検索するか、こちらをクリック下さい。
(閲覧するにはInstagramアプリのダウンロードが必要です))
 


BLUE GIANTは以前も紹介したことがあるくらい、
大好きな漫画ですが、

自分のイメージと実際の音の差異があるだろうと
映画の公開を聞いても避けてきました。

ただ、京都市内の出町座さんで、音にこだわった大音量の上映をされるとのことで
それならと伺ってきました。

演奏は作品によく合う若くて勢いのある方たちで固められていて、
上原さんも馬場さんも石若さんもみんな好きな演者ばかりでしたが、
正直結果はイメージとの大幅な差異を感じました。

ただ、差異が悪いというわけではなく演奏自体素晴らしく、
特に漫画で出てくる粗削りなのに可能性を感じさせる音というのはどんな音なのか?
と楽しみにしていたのですが、
粒が立ちながらわずかにぶれる音で表現されていて驚嘆しました。

殻を破る前の演奏、
殻を破った後の演奏、
初心者のベーシックだけど必死な演奏、
未熟ながらも急成長を遂げた演奏、
それぞれに明確な違いをもって表現されていたし、
片腕なのに衝動を表現する演奏も
普段の演奏とは明らかに違うコルトレーンの系譜を継いだ演奏など
プロはなんて凄いんだと
ただただ感嘆しかありませんでした。


短い中でどこを切り取るのか?
原作と違う結末、
というのは原作がある作品では永遠の課題みたいなところがあって、
あ、ここを切り取るんだ、あ、ここは変わるんだと面白く鑑賞させていただきました。
また、原作ファンのためのサービスとして深堀りはないにしても
1コマだけでも思いいれのある人物がでてくるのは思わぬうれしさもありました。

演奏シーンの様々な試みだけでなく
冒頭と最後に出てくる猫のメタファー等
随所に映画的な演出がされていて、好みでもありました。

個人的には主人公がなんの根拠もない初期衝動なのに、
激しくもなく、
淡々と淡々と、
延々と延々と続けていく
大好きな一念を表現した練習のシーンがなかったことが残念でしたが。


映画館を出た後、なぜだか頭の中に昔好きだった頭脳警察の「さようなら世界夫人よ」が流れてきて
ヘルマンヘッセさんもPANTAさんもJAZZだなと変に納得したのでした。


以上、いいものを見たり聞いたりすると
ふと関係ないものがつながることがあるよねという話でした。
 

2023年05月03日 00:00

THE FIRST SLAM DUNK




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(越天楽のインスタグラムをはじめました。
少しずつですがご来店いただいたお客様などを紹介していきますのでよろしければご覧ください。
(Instagramでarashiyama_etenrakuで検索するか、こちらをクリック下さい。
来月には縦横無尽のInstagramを紹介しますね。
(閲覧するにはInstagramアプリのダウンロードが必要です))
 


スラムダンクは漫画の時代に、
好きだったドカベンの岩鬼のセリフ
「花は桜木、男は岩鬼」
をキッカケに読むようになり、(主人公の名前が桜木花道です。)
夏子はんと春子さん等、随所に感じられるドカベンへのリスペクトを含めて好きになっていきました。

当時は、リアルタイムでいうとバブル期ということもあり、
様々な作品で最初から天才か天才的な才能を秘めているかの全能感(今でいうチート)溢れる登場人物が多くて、
良くいえばクール、悪くいえばしらけていたともいえる時代でした。

そんな中、時代に沿って上條さんのような画を入れたり、天才も描きながら、
同時に滴る汗を描き、真正面から真剣に戦う姿、努力しても敗北する姿を描くこの作品には
非常に心惹かれるものがありました。


今回の映画「THE FIRST SLAM DUNK」では、
当時ではもって来れなかったであろう、
他の才能を持つ主役達と比べて決して高いといえない身体能力や背が低いという身体的特徴をもつ、
天才ではない凡人ともいえる宮城リョウタを主人公にすえていることに感心しました。

また、初期衝動に向かいあったり、小さい頃にどんな自分だったかを遡るのは、
言志四緑の佐藤一斎さんいうところの「一燈」で、
まさに中小零細自営業者のおっさんが今遡ってしていることを
高校生で自己発見をしていくことに感嘆を覚えました。

もちろん、技術的なことは分からないけど、CGの躍動感やスピード感は試合の中にいるような感じでしたし、
少ない時間で初めてみても楽しめる内容、
出だしのラフ画から登場人物が動き出していく等、
どれも素晴らしいものでした。



ただ、中小零細自営業者のおっさんなら誰もが好きだと思う
出なかった登場人物である魚住の
「泥にまみれろよ」
というクリシェがなかったのは残念でしたが(笑)

総合的に考えてとても面白く何度もみたくなるような映画でした。


以上、どんなにわかったようなことを言ってみても、
結局映画をみに行こうと思った理由は、
井上雄彦さんが監督と知ったから程度です…という話でした。

 

2023年04月11日 00:00

ケイコ 目を澄ませて




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(写真は小学校高学年の息子のつくった「生き物の世界」です)
 


1月に続いて何とか月の最後に
映画館で映画をみることができました。

三宅唱さんは前作の「きみの鳥はうたえる」が好きで、
そこから遡って「COCKPIT」でやられたクチですが、
今回も上質な積み重ねを感じさせる内容で、
冒頭の小津さんをオマージュしたような電車の交錯や河川敷であったり、
ゴダールさんを彷彿とさせるような映像の色であったり、
引きこまれてあっという間の時間でした。
合間にさりげなく「COCKPIT」の音楽が流されたりしているところも好みです。

「ケイコ 目を澄ませて」

主演の女優さんが素晴らしすぎて、
おそらく監督が様々に積み重ねてきたものがみえにくくなってくるのは皮肉だなあと思いながら
何度もみると気づくことも多いだろうし、
何度もみるだろうなと思える映画でした。

蛇足ですが、主演である岸井ゆきさんが日本アカデミー賞の主演女優賞を受賞されて
おめでたいと思う反面、
みんながいいと言うものを嫌悪する天邪鬼な人間は
少し寂しい気持ちになるのでした。


以上、映画館での映画鑑賞が何とか続いたな…という話でした。

 

2023年03月15日 00:00

エンドロールのつづき




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(写真は大雪だった日の嵐山です)



ただでさえ少ない意志力が年々衰えてくるなかで、
より深く知りたいことであったり、感じたいことであったりする欲望は相変わらずというかむしろ増える一方で、
それを満たそうと思うと継続が必要なわけで、
少ない意志力で何とか続けるために
友人達と学習会したり、有志達と読書会したりと何とか継続するために足掻いたりしています。

その中の一つにサブスクの映画を毎月2本鑑賞するというのものがあり、
もう何年も続けています。
ただ、映画館でみるのとパソコンの画面でみるものには
最近では中学生の娘ですら使っている「似て非なるもの」
という大衆化した孟子さんの言葉で表現されるような、
感性を摩耗させていくものがあるような気がするのです。

数年前からネット販売をはじめて、
映画館で映画をみることとパソコンで映画をみることの違いのように、
店舗での販売との違いを思い知り、
どちらがいい悪いというわけではなくそれぞれの違いがある中で、
自ら店に立ってお客様と対面するからには
パソコンで映画をみてもらうだけではなく
映画館で映画をみた気持ちになってもらわなくちゃと
改めて思うのです。

で、今年に入って月に1回は映画館で映画をみるようにと決めたのだけど、
継続のための自身のリソースはいっぱいいっぱいなので、
このブログを使って継続の緩い縛りにできればなあと考えて
いいなと思う映画があった時、感想を書いていこうかなと思っています。

いいなと思うかどうかの問題もありますが
最近は、ヨーロッパだけではなく中国や韓国、インドやベトナム、タイなどのアジアにも
質の高いと感じる映画が多くて
そんなに心配はしていません。

長々と書いてきましたが
ようするに月に1回映画館に映画をみに行って
面白いと思ったら感想を書きますねという内容です。

ちなみに先月1月にみたのは
「エンドロールのつづき」です。

さて簡単な備忘録的な感想です。
あくまで個人的な意見ですので、おかしな内容なこともあると思いますが
ご了解ください。

「エンドロールのつづき」


初期衝動においてはイラン映画の「駆ける少年」の方がよいと感じるし、
映像の光や色の表現する心象風景においてはタルコフスキーさんの方が優れているように思う。
インドの映画だけと生粋のインド映画のように滑稽なくらい陽気ななわけでもない。

ただ、意図的な光や色の表現は好きだし、
深く考えているようにみえる登場人物が、実は何も考えていないような馬鹿げたシーンが多用されていてテンポがいい。

初期衝動を表現されているように思ったが、話の構成はアーサー王物語のパーシバルのような少年が母から旅立つ物語で、
それを基にしたスターウオーズを彷彿とさせるシーンがあったりして、面白かった。
この映画の中でのオビワンは死なずに失職した後、主人公に紹介されて再就職する(笑)
また、より母から旅立ちを象徴するような繰り返される母親の料理のシーンは美しくおいしそうだった。

監督の自らの生い立ちを実話をもとに表現しているということで、
この映画自体が監督にとっての旅立ちからの帰還なのかもしれない。


以上、久しぶりに文章を書くと相変わらずうんざりするほど理屈っぽいなという話でした。

 

2023年02月05日 00:00

鎮座ドープネスさん、CHEHON(ちぇほん)さん、欲望を刺激する


2022/10/3

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(写真は千本釈迦堂さんでみた菩提樹の葉です)


たまに、今何をきいているか紹介してほしいというご希望をいただきます。
今回もまたご希望をいただきましたので紹介いたしますね。


最近は鎮座ドープネスさんとCHEHONさんをよくきいているような気がします。

鎮座ドープネスさんは昔から大好きな方で、
英語は得意ではないとおっしゃられているのにリリック(曲にのせて即興で歌われる詩(うた))が天才的で、
特にえぐいリズムキープでの即興は他の追随を許さないぐらいに素晴らしく
音源自体がほとんどなかった時代に伝説といわれていた方でした。

有難いことにYOUTUBEで音源が手に入る時代になってから
自由に楽しめるようになりました。

すべて即興です。だいたいこの後にJBさんにいってしまいます。



若手の新進気鋭のレゲエの方とバトルセッション。
若手の方がレゲエやUKグライム、豊富なライム(歌詞で韻を踏む)を繰り出してきたことに対して、
中国武術の達人のようにふわりと自由自在なフロウ(その人のリズムののり方、取り方)とリリックで返していきます。
聞き取りやすい上にダブルミーニング(一つの言葉で二つの意味を持つ)、トリプルミーニング(一つの言葉で三つの意味を持つ)を散りばめていて秀逸です。
また、相手の大きな失敗を突かずに一緒に空気をあげていくところも好きです。
この手のバトルはディス(けなしたり否定したりする)も多くて、そんなに好きではないのですが、
こういう相互作用で別次元にいくようなセッションは大好きです。



CHEHONさんは日本レゲエの一翼を担われている方で、
在日であることを卑下せずだからと言って高飛車にならずに受け入れ、
抒情を歌い上げながら、常に前向きでまっすぐな歌詞と、リズムにのりやすい歌は
料理中、仕事の準備中によく聞いています。

今まで、レゲエにはそんなに興味がなくて
CHEHONさんで言うとダブルミーニングで有名なミドリをきいていたぐらいですが、
たまたまYOUTUBEで上がってきていて
それ以来のお気に入りです。

息子と聞いています。



ハタチぐらいの学生の頃に資金もコネも力も何もない状態で商売を始めた時、
周りのほとんどの人に「出来っこない」と言われてたなあ~と思い出して甘酸っぱい気持ちになる歌です。



さて、インターネット販売をはじめて2年以上たちました。
有難いことに少しずつですがご注文をいただく中で、
先日大変うれしい言葉をお客様から頂きました。

「欲望を刺激されました」と。

お店において、僕が大切に思っているのは「作品(商品)」「時間」「空間」で、
お客様に喜んでいただける「作品」はデザイン性や面白い商品性であったり、「時間」はお客様と楽しんでお話しすることであったり、楽しい提案であったり、「空間」はお店のディスプレイであったりクリンネスであったりするのですが、
インターネット販売ではなかなかこれら3つを表現することに苦慮していたからです。

「時間」も「空間」もなかなか思い通りにならず、下手すると写真でみせるデザインであるはずの「作品」ですらうまいことお伝え出来ない中で、
「欲望を刺激された」と微差を発見してお伝えくださったお客様には感謝しかありません。

改めてお客様の感性を信じて、
微差にこだわり、
発見されるため、
少しずつ良くしていきますね。

あくまで少しずつですが…。


以上、最近のことをつらつらと。

 
2022年10月03日 09:44

本家鶴㐂本店さんに行ってきました


2022/08/31

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(写真は伊吹山の上からみた琵琶湖です)


忙しさにかまけてブログの更新をすっかりおこたっていました。
ウェブもリニューアルしましたし、少しずつですが更新していきたいと思います。

大好きな蕎麦祥さんがやめられてから
しばらくずっと蕎麦難民でした。

そこそこいいと思うところは沢山あるけど、
これは!と思える蕎麦屋さんには出会っていませんでした。

そんな時、ふと思い出したのは本家鶴㐂本店さんでした。
で、伺ったのですが相変わらずの美味しさでした。
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(表も素敵です)

朝一番に行ったのですが、いっぱいで少しならばなければなりません。
並ぶのは大嫌いですが、少しなら我慢して並べるくらい大好きなお店です。

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(天ぷらと散々悩みましたが、かやくご飯とにしんそばにしました)

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(佇まいがありますよね)


以上、久しぶりですがいつものようにオチも山もない話でした…。

 
2022年08月31日 09:44

濱口竜介さんと縁起と





 

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(写真は仁和寺八十八ヶ所でみたオーブです)

 

 同時代にリアルタイムで生きておられることに感謝するしかないような大好きな人が幾人かいて、

そのうちの一人に映画監督の濱口竜介さんがいます。

(そのうちの一人のクレイトン・クリステンセンさんは少し前にお亡くなりになりました。残念で悲しいです。いずれ文章を書くかもしれません)

 

濱口竜介さんは今世界で数少ない、創発を映像化出来る方だと思っていて、

映画に面白さではなく、どれだけ心を揺らされ、絶望を味わうかを求めてしまう僕にとって

感嘆するしかない監督です。

それも全ての作品で。

 

過去の優れた映画監督たちの遍歴から考えても

昨年公開された彼の「ドライブ・マイ・カー」は最高傑作になるであろうと確信していました。

映画の中にちりばめられたオマージュと情報量が何層にもわたって表現され、別の意味が立ち上がってくる集大成を

一人ではなく誰かと一緒に分かち合いたいと

昨年、友人を誘って観に行く予定を立てていました。

しかし、ニ度ほどやむ得ない事情が重なって観に行くことを断念しました。

今年に入って、大好きな奥さんと 観に行く予定を立てましたが、結局予定が入り頓挫。

 

これは僕に何を教えてくれているのだろうかと思いながら、

次に公開された「偶然と想像」を先に観て、

戯曲のような構成や演者の映像の中での成長を味わいつつ、

あまり細かく説明すると大事なものが失われてしまうのでここまでにしますが、

大好きなシッタルダーさんがおっしゃられていた「縁起」の映像化を試みられているように感じ

ただただ、茫然とするのでした。

 

そして、まだ観ぬ「ドライブ・マイ・カー」を観ることにより一体どんな別の意味が立ち上がり、

絶望を味わいながら心を揺らされるのかと思うと

おそるおそるで楽しみにしてしまうのでした。

 

以上、「ドライブ・マイ・カー」は独りで観に行きます・・という話でした。

 


 

2022年02月09日 10:48

初代竹山さんと2代目竹山さんとプラシーボと閾値(いきち)と





 

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(写真は松尾さんの天狗さんです。今回は龍がみえました)

 

津軽三味線の初代高橋竹山さんは名前だけ聞いていたぐらいで

数年前の初代と2代目の竹山さんを取り上げる映画まで音源に触れることはありませんでした。

ただ、数年前にたまたまみた映画でその音の凄みに鳥肌が立ち、ただただ圧倒されました。

 
(初代竹山さん)

映画の内容は詳しく覚えていないのですが、

初代が物故された後、2代目を継がれた2代目竹山さんが

女性ということもあってか、

20年くらい、津軽三味線の地である青森で演奏できず、

20年ぶりに和解して青森で演奏されて、

青森の人たちに認められて拍手喝采を受けるといった内容だったように記憶しています。

ただ、最後の拍手喝采の演奏がもちろん素晴らしいのですが、

初代とあまりに違っていて、うーんと首を傾げてしまいました。

まあ、フェリーニさんとかがよくやるように、

監督さんがみる者の感情へ意図的にざわざわした違和感を感じさせようとしているのかなあと

かってに了解していましたが。


(初代竹山さん。年を重ねて表現に凄味が増されているように感じます。特に死の間際のダメな演奏をダメなまま晒しながら、そこに時間とともに命を吹き込んでいく様には感動を越えて戦慄を覚えます)

 

 

先月、百貨店イベントに伺った際に

たまたまお客様で初代竹山さん直系のお弟子さんがいらっしゃって

お話を伺う機会があったのですが、

初代と2代目竹山さんの演奏の違いの疑問をぶつけると

お弟子さんに「楽器の違いも大きいよ」

と教えていただきました。

初代の音は氷河期時代に育った木からできた津軽三味線からきていて、

木の目が詰まった独特の音を奏でるその三味線は、今ないそうです。

一方で2代目も初代に劣らず技術的に素晴らしく、

音として違うように感じるならそれは楽器だろうとおっしゃられていたのです。

あっ、いつものようにプラシーボか…と。

 

で、もう一度初代竹山さんの音源に接してみるとやはりすごい。

何度聞いても楽器を外して考えてもすごい。

彼の3歳で失明して津軽三味線を弾くことしかできなかった貧しい生い立ちや、

戦中、戦後に苦労され、

物乞いのように家々を訪ねて演奏してまわったといわれる経験からくる

何かえもいえぬ凄味が演奏にのっているような気がしてならないのです。

 

でも、2代目さんに映画の映像では僕だけかもしれないけど凄味が感じられない。

それは戦争で生死を体験しなかった僕たちや

 初めからノウハウや情報や便利を多く与えられている今の子供たちにも当てはまります。

自分ではどう変えようもない絶望であったり、死と隣り合わせの恐怖であったりがない時代というのは

生きていく上での多くのことは快適だったとしても、

表現者でもない零細中小自営業者にとっても

越えがたい壁のように感じるのです。

 

そうするとカマシワシントンさんのように

過去のジャズやすべての音楽を網羅して編集したうえで

膨大な時間をかけて、自分の音をのせていくために期待をしない努力し続け、

閾値を高め続けて、

こないことを前提としながら、

創発がやってくるのを信じるしかないという

いつもの姿勢しかないわけで…。


(2代目竹山さん。彼女にしか出せない音が感じられ素晴らしい演奏で、モダンで聞きやすいです)

 

 

これはこれで向き合わされたような

あーそうですね頑張りますよ来年も…といいたくなるような

一年最後の締めくくりとなった気がします。

 

 

 以上、今年最後もいつものようなやるせない、

言語化すると陳腐になる話しでした。

 

2021年12月29日 00:00